夏のビールは半世紀酒屋のネオ屋台角打ちで。-谷保・広島屋-

肌にジトリと空気がまとわりつくような6月。爽やかな初夏の気配も通り過ぎてすぐ目の前には梅雨の雨雲がゆっくりと接近している。こんな気怠い時期の夕方はジョッキのビールに限る。席に深く腰掛けてじっくり胃に落とすような酒ももちろんいいけど、夏はやはり軽やかにやっつけたい。クイっと飲んでパっと出る。コの字酒場で肩を寄せ合うのももちろん最高だけど、こんな湿気った季節は肌をくっつけ合うのがちょっと億劫だったりする。

何なら外がいい。公園でもいい。ロータリーでもいい。欲をいうと「角打ち」がいい。

角打ちとは酒屋で買った酒を併設されたスペースでそのまま飲むことができるシステムのことだ。この「スペース」はちゃんと屋内席がある店もあれば外にドラム缶やビールケースが荒々しく転がされている店もあり、スタイルは酒屋それぞれ。当然安く飲めるし、目の前は酒屋なのでバリエーションには事欠かない。立ち飲み屋に行くのも違うしコンビニで買って飲むのも何だかイマイチ、そんな酒飲みの我儘に優しく対応してくれるアルコホリック・オアシスだ。

下町感あるイースト・トーキョーに角打ちの名店が点在するのに対し、中央線後半から西多摩方面にかけてのウエスト・トーキョーにはなぜか角打ちが少ない。阿佐ヶ谷の「酒ノみつや」(ここも素晴らしい店)以西は、澤乃井で有名な小澤酒造に隣接する青梅の「福島屋酒店」まですっぽりと角打ちが姿を消してしまう。

そんな角打ちロスの多摩だが、国立市谷保に角打ちが爆誕したという嬉しい知らせが届いたので早速行ってみることにした。店の名前は広島屋、谷保の屋内商店街で半世紀以上に渡り営業を続ける老舗である。結論から言うと最高だったので是非足を運んで欲しい。

全天候型の屋内にありながらフードコート並みの席数、無休で昼から夜まで、酒はもちろんつまみも充実、コーヒーもあり、持ち込みOK、フリーで弾けるピアノが設置され、名物店員・村田さんのカチューシャは季節で変動、広島屋オリジナルブランドの日本酒とビールもあり。

今まで角打ちが欠落していた多摩エリアにこんな魅力過多な酒場が急にできてなんとも幸先の良い夏だ。
横目で梅雨を肴に飲むのもいいだろう。

文・写真/松岡真吾

村田さんカチューシャが気になる方はこちらの過去記事を。
http://tobanare.com/muratasan-no-kachusha/

広島屋

国立市富士見台1-17-125むっさ21内1F
042-572-7933
10:00~20:00 年中無休

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