青梅線、風景画のような車窓に会いにゆく。

青梅線。中央線の立川駅からはじまる、まちから山への架け橋な路線。
20代の転職活動で時間を持て余していた頃、中央線沿いに暮らしていたこともあって、たびたび青梅線に乗って、23区から東京の西の果てまでの小さな旅をしていた。

お金も持っていないので終点まで乗り終わっても特に何をするわけでもないのだけど、ただ乗っているだけですごいスピードでテンションが変わる車窓は見飽きなかった。商業施設や住宅がぎっしり詰まった街並みは、三鷹をすぎたあたりからどんどん風景がほどけてきて、少しずつ余白が生まれてくる。

そして、そのままゴトゴト青梅駅までやってくると、そこから先はワンダーランド。
終点・奥多摩駅までの間は、まるで東京とは思えない山並みが窓の外に広がる。平日の午後なんかは乗客もまばらで、車窓をまるごとひとりじめできるのがうれしい。
今回は車窓を写真におさめてみようと思いたって、また、青梅線に乗ってみた。

青梅駅を過ぎると、窓枠がだんだん額縁に見えてくる。

山と山の輪郭が交差するスポット。

のどかな田畑とひたすら並走するゾーン。
反対側の窓の外はすぐ山なので、駅からおりて走る電車を眺めると、野菜がたくさん並んだ畑と山の間を電車が駆け抜けるなごやかな風景に出会える。

二俣尾駅付近。名物、東京で一番西にある本屋さん、多摩書房。
レトロな看板と外観だけど、お店のなかは意外にも新刊のセレクトが充実していて、また行きたくなる場所。
訪れるたびに、必ず地元の人が定期購読している雑誌を受け取りにやってくる場面に遭遇する。あったかいやりとりがすごく微笑ましい。

電車にぶつかりそうなくらい、迫りくる木々。
ちょっとしたアトラクション感覚になる。

この電話、青梅線の奥の方は毎駅見かける。
何用なんだろう……?
軍畑駅にて。

年季の入った梅の木、花がちょうど満開。
日本画みたい。

青梅〜奥多摩間の車窓ハイライト、多摩川上流に架かる奥多摩大橋。
夏は橋の下のキャンプ場が大にぎわい。カラフルな夏色が眼下に溢れる。

今回は、早春の車窓なので、山の緑も霞がかって、ぼんやりしたかわいさだったけど、さらにおすすめは4〜5月ごろ。
山の緑がこれでもかというほどに柔らかな鮮やかさで、眺めるだけで、なんだかいいことありそうな心持ちになってくる。
青梅に暮らす人からも、その季節の山が一番好きという声をたびたび聞く。

乗っているだけで心をすーっと遠くにとばしてくれる車窓は、ぽっかり空いた時間にぴったりなのだ。

文・写真/三森 奈緒子

Share
Share
Share