東京団地ノスタルジア#2 町田木曽団地名店街

行ったこともなければもちろん住んだこともない。
そんな東京の郊外団地は、どこか懐かしい乾いた郷愁が漂っている。

町田山崎団地名店街に隣接する「町田木曽団地名店街」は商店の並ぶ広場に対して円を描くように団地住宅が向き合っている商店街だ。薬局、美容院、肉屋、酒屋など団地住民の生活に寄り添うような店が点在し、時折NPOの事業所前でフリーマーケットが行われていたりもする。行き交う人々は圧倒的に高齢者が多く、夕方になるとどこからともなく子供たちが現れては通りを駆け抜けていく。

肉屋の店頭で焼き鳥をもらいながら店番をしていたお母さんと少し話す。この肉屋は商店街の中でも最古参。ここのように創業当時のまま営業している店はもう一帯で数えるほどだという。

「大人になった団地の子が帰省すると、ここに寄ってコロッケを買い食いしてくれるの。変わらない味だって喜んで。そういう子がいてくれる限りはね、やめられないのよ」

ハムカツは一枚30円。思わず安いですね、というと

「だって子供たちが買えないと可哀想でしょ。だからずーっと昔のまんま、値上げできないの」

別れ際にメンチカツとコロッケをサービスで貰った。
お母さんの目から見たら、まだまだ子供のようなものなんだろうか。

肉屋のお母さんに教えて貰った老舗の喫茶店でチーズケーキと珈琲を頂きながら、大きな窓から通りを眺める。お会計の時にマスターとも少し世間話をした。昔はもっと子供が多かったけどなぁ、とマスターはこぼす。結構いるように見えますが、というとマスターは笑いながら「この店からは通りがよく見えるからね」と目を細めながら広い窓の外を見つめていた。

写真・文/松岡真吾

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