2017.9.20
庶民の暮らしにさまざまな幸運をもたらしてくれるという、七福神。それぞれの神さまが祀られた神社を回る「七福神めぐり」は、主に正月の初詣にされることが多いようです。
福生市にある熊川神社は「一社七福神」。なんと七福神の皆さまが一堂に会しています。正月に限らずいつでも揃って迎えてくれるという、懐深い神社なのです。人々の暮らしの近くに佇む、個性豊かな七神に会ってきました。
熊川駅から徒歩5分ほどで到着。傍らには熊川分水が流れ、境内は緑に囲まれた、のどかな雰囲気。吹き抜ける風に、清々しさを感じつつ鳥居をくぐります。
熊川分水のせせらぎが心地よい
手水後、まず出会ったのは恵比寿さま。烏帽子と釣竿、抱え持った大きな鯛がトレードマーク。元は大漁豊作の神さまだったようですが、今では商売の神さまとして広く知られています。四角い心も丸くなるような、穏やかな笑顔。
恵比寿さまに抱えられた鯛も、のんびり。安らぎの顔。
そして恵比寿さまのすぐ向かいには、福の神・大黒天さまが。打ち手の小槌を今まさに降り下ろそうとしている、躍動感のある姿。足元にあるのは米俵でしょうか。大きな袋を担いでいますが、気になるその中身は「七宝」(寿命、愛嬌、人望など)。人にとって大切な精神的な宝が詰まっているそう。
そして向かいには寿老人。延命長寿のこの神さまは、長い髭と、杖と経典がトレードマーク。元は中国・道教の神さまということで、頭布が中国風だとか。幸福感溢れるお顔が、陽の光を受けて輝いていました。後光が差しているようで、なんともありがたい。
こちらは紅一点の女神・弁財天さま。知恵や芸能、学問の神さまで、琵琶を奏でる穏やかな表情に思わず見惚れてしまいます。
4人にお会いしたところで、拝殿が目の前に。本殿はなんと慶長2年(1597年)に建てられ、都内で二番目に古いものだそう。大事に改修を重ねられて、今に残っているそうです。
屋根の曲線が美しいです。
そして早くもラストスパート。
お参り後に見つけたのは本殿の傍にどんと構える、布子授・安産の布袋さま。ふくふくとした恰幅のよさ、ぽってりと垂れるふくよかな耳たぶに圧倒されます。
そして一風変わって厳しい表情は毘沙門天さま。彫りの深いお顔、手には矛を構えています。かつて戦国武将の信仰を受けた、武運の神たる威風堂々とした姿。
そして最後は、延命長寿の福禄寿さま。長い頭が特徴的。全てを悟ったような表情に心がしんと落ち着いてきます。
一社七福神ということで、絵馬にも七神が勢ぞろいしています。
こんな可愛い土鈴もありました。
左から、寿老人、毘沙門天
大黒天、弁財天、恵比寿
布袋、福禄寿
表情豊かな神さまたちをめぐるのは、まるで境内の宝探し。七神七様の笑顔に会うのも、また楽しい。
何かお願いごとのあるとき、福生に集まるユーモラスな神さまたちのもとへ行ってみてはいかがでしょうか。
文・写真/佐藤琴音
熊川神社
福生市熊川660
JR五日市線熊川駅徒歩8分
042-551-0720