ヴィンテージ大衆浴場案内 ♨ 小平浴場 ♨


東京西部の奇跡的な味わいの湯処 = ヴィンテージ銭湯を、個人的興味全開で不定期に巡っていきます。今回は、小平市の一橋学園駅で昭和28年から65年以上営業を続けている小平浴場。なんと竣工時から、ほぼ内装が変わっていません。
ずっと気になっていた小平浴場、先日仕事の打ち上げが近くであったので帰りにふらっと立ち寄ってみました。一歩中に足を踏み入れると、年季の入ったロッカーや柱時計に、バラの絵が描かれた美しいマジョリカタイル。番台のおかみさんが眺める視線の先にはニュースステーションの夜汽車のコーナーが流れ、静かな屋内にガタゴトと車輪の音だけが響いていました。
お風呂からあがって一息つくと、時の流れがとまった昭和の空間にすっぽりと包まれてしまい、一瞬いま自分がどこにいるのか、今日は何月何日なのかわからなくなるような感覚に襲われたのですが、それはとても心地のよいノスタルジーで、その夜から日々再訪したい欲求にかられていました。

ついに再訪できました。昼間はまたさらに、雰囲気に温かみが満ちています。

男湯と女湯の境の壁には、大正から昭和初期にかけて国内で製造されていたマジョリカタイル。


















銭湯絵師丸山清人さんによる瀬戸内海のペンキ絵。

大黒様は釜場の入り口にずっと飾っているのだそう。

お湯は、薪の熱でじっくりと沸かしていきます。

店主の山上さんは、二日にいっぺん燃料になるフォークリフト用の木製パレットを東村山まで仕入れに行きます。燃料の薪(パレット)は、夏は荷台の二分の一、冬は荷台いっぱい積んでも足りないくらいなんだとか。

山上さんは会話の端々に廃業の二文字を匂わせたりもしますが、毎日「にじバス」に乗ってやってくる常連のおばあちゃんのことや、最近は盗撮に気をつけようと浴場組合で話題が出たんだよ、とか、しみじみとお茶目にいろんなエピソードを話してくれました。

「撮影もいいけどさ、普通にお客さんでまた来てくれるのが一番うれしいよ」

はい。また、じっくり湯につかりにきます。

写真・文/三森奈緒子

小平浴場

小平市津田町3-4-22
西武多摩湖線一橋学園駅徒歩10分
042-343-3018
月休
15:45〜23:00

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