気になる、あの街のおやつ。〜小平の「たらしもち」〜

街の人から教えてもらった「たらしもち」は、はんなりした字面からして、おいしそう。そう思って、実際に食べに行くことにしました。

いったいどんな「もち」なのか。黒蜜など何らかのタレをもちに「たらす」のか。それとも、柔らかいもちをタレにつけるように「たらす」のか…とにかく、おいしそう! 
膨らむ想像に心を躍らせながらやってきたのは、小平にある「うどん弥 根古坂」。


カウンターがメインのお店。木の温もりがあり、落ち着ける空間です。

こちらは、店主の小野弥(わたる)さんが丁寧に作る「小平糧うどん」が看板メニューの店。小平産の小麦粉を使った正真正銘の「街の味」を楽しめるとあって、地元でも評判の店です。

そして、糧うどんのメニューの横に、見つけました「たらしもち」。

手書き文字がいい味出しています。

「たらしもちは、昔から農家のおやつだったんだよ。子どもの頃、農家の友だちの家で食べさせてもらった『たらしもち』がおいしくって忘れられなくてね。『あの感動をもう一度』って、つくってみたんだ」(小野さん)

話を聞くと、山梨や群馬でも似たようなおやつがあるという。「たらしもち」の他に「やきもち」と呼ばれることもあるそうだ。

「うちでは、『ふすま』を入れる。香りが良くなるし、栄養価も高いからね」
そう言って見せてくれたのが、こちらの瓶。

玄麦(左)の表皮が「ふすま」(右)です。

「せっかくおいしいものが土地にあるから、みんなに食べてほしい。昔からあるものをなくしちゃもったいないしね。だから本当は、家で作ってほしいんだよ」

簡単だから作ってみせようか、と小野さん。すぐさま目の前で生地を作ってくれました。


 ① 小麦粉に、ふすまを入れて混ぜ合わせる。


②水を入れ、混ぜ合わせる。ちょっと緩めにするのがコツです。


③焦げ目がつく程度に焼けば、完成。仕上げに砂糖醤油をたらりと。


お好みで生地に餡子を混ぜても◎。トマトソースをかけて欧風にしておいしいそうです。

あまりに小野さんの手際がよいので、それとなくお聞きしてみると、なんと前職は調理師・栄養士を養成する学校の副校長先生だったそう。
今では、市内の小学校などで、子どもやその保護者にも糧うどんやたらしもちの作り方を教えているそうです。

「僕はお節介なだけ(笑)。でもね、一つのことから、たくさんのことに繋がっていくのを、日々感じている。それが面白い。やっぱり食べるところには、笑顔がないと。携帯でやりとりばっかりしてないで、ごはんを食べながら、人と会話できた方がいいよ。ごはんも、もっとおいしくなる。そういう食卓に、糧うどんやたらしもちがあるといいなって思うよ」

たらしもちは、素朴でどこか懐かしい味。催事で販売するときには、行列ができることも多いとか。人の胃袋をつかんで離さない魅力があります。
それはこの街にあった、団欒の味だからでしょうか。
たらしもちを頬張りながら、1枚のたらしもちを分け合う食卓の風景が浮かびました。


おまけ:なんと若い頃にはカーレーサーだったという、小野さん。(写真は、かつての愛車だそうです)。来年からは米づくり、ゆくゆくは日本酒を作ってみたいとのこと。朗らかな店主も、この店の大きな魅力になっています。

文・写真/佐藤琴音

うどん弥 根古坂

小平市小川町1-1104-1
JR武蔵野線新小平駅徒歩7分
042-344-0007
木休、不定休あり *要確認
11:30〜14:30

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