ハンサムを売りに。「昭島ハンサムジャンク」主催者インタビュー

前回紹介した「AKISHIMA HAND SOME JUNK(昭島ハンサムジャンク)」。(詳しくは前記事へ
主催者の二人が厳選した、ハンドメイド、アンティークショップなど総勢80組が出店するイベントだ。「多摩エリア最上級のこだわりの品々」と豪語するからには、一体全体どんな人が厳選しているのか、という点はとても重要だ。「誰から買うのか」のもう一つ前の段階、「誰がセレクトしたのか」を掘り下げていきたいと思う。

前回も少し触れたが、立川市の「ガレリアサローネ」カフェオーナー関さんと、同じく立川市のアンティークショップ「ガジェットモード」のオーナー波多野さんのお二人がこのイベントを主催している。


関さんのお店「ガレリアサローネ」には何度かお邪魔したことがある。「この近くになんだか異彩を放つ店構えで巨大なクマのぬいぐるみがいる店があるんだけど、行ってみない?」と誘われて訪れたのが最初だ。どんな店なのかとすこしドギマギしつつ入ると、人好きのする笑顔で迎えてくれる関さんがいた。「人との距離感のとり方が異常に上手い人だな」というのが最初の印象だった。

開店当初から、地元の作家や絵描きに声をかけ、個展を開いたり、イベントを開催したりと積極的にお店をオープンなスペースとして活用していた。そしてそこで知り合った作家同士がまたイベントを持ちかけてきたり、別の場所でイベントを行う。お店に行けば必ずなにか新しいもの・人に「出会える」場所を作り出している。

関さんから感じるイメージは「つなぐ人」だ。お店に来るお客さんや作家、音楽家、デザイナー、どんな人でも違和感なくすんなり繋げてくれる。「この人とこの人が話したら面白そう」とかそんな気軽なニュアンスで、でも嫌味にならない程度にヒョイヒョイと人を繋いでいく。人と人の化学反応を楽しんでいる。そんな印象だ。

一方で、波多野さんと腰を据えてお話するのははじめてだ。飄々とした雰囲気の中にブレない軸を感じる、そんな人柄だ。20年以上前から50・60年代のトイやノベルティーグッズを買い集めていたという波多野さん。車の改造屋を経て、アンティークショーのはしりとされる「ジャンクショーTOKYO」に出店。その後、川越や中央林間などに店を構えながら、アンティークイベントへの参加を続ける。現在は昭島の米軍ハウスを自宅兼倉庫として利用しながら、今年2月から立川で「ガジェットモード」をオープンさせた。

お店を始める前から何度もアメリカに足を運び、買い付けを行っていたという。その時にバイヤーから言われた「どうせ日本人は『ファイヤーキング』を買いに来てるんだろ」という言葉にひっかかりを感じたそうだ。確かにその当時、周りは日本でも人気の高かったファイヤーキングを扱うところが多かった。そんなアンティーク界隈を見て、「他がやっていないところを突かないと、勝てねぇ」という思いを強く抱いた。

アメリカのアンカーホッキング社が1940年代から70年代まで製造していた耐熱ミルクガラス製の食器。日本のみならず世界中に愛好家がいる。

そんな思いを抱きながら商品を買い付ける中、ある時、元々好きだったというアウトドアのヴィンテージグッズはどうだろうか、と思いつく。「イギリスのバイヤーも、アウトドアグッズのヴィンテージをメインで扱うっていうのは日本じゃ他にいないだろうな、っていわれて『これだ!』と思ったよ」と当時を振り返る。
そして丁度その頃から、空前のアウトドアブームが追い風のように訪れたそうだ。

お話を聞いていて、波多野さんは「みつける人」というイメージをもった。そのジャンルの盲点を突くというのは、直感とセンスとタイミングがないとできないことだ。

そんな二人の出会いは20年ほど前。当時はフリーマケットブームで「言い値」で取引されるほどにぎわいを見せていたイベント会場でお互い出店者として知り合ったそうだ。きっとその時も互いに「こいつただもんじゃないぞ」と通じ合うものがあったに違いない。

関さんは「当時、週休5日だったよ。週末のイベント出店で生計立ててた」と笑いながら語る。それほどまでにブームだったというのもあるが、関さんの「審美眼」と「口の上手さ」も商品を捌けていた要因のひとつなのではないかと思っている。「口の上手さ」と書くと語弊はあるが、要は道筋建てて人に伝えるのが上手いひとだ。自分が「良い」と感じて集めてきたものの魅力を、説得力をもってして伝える。そしてそこに嘘はない。そんな姿を見てか、そのフリーマーケットの会場で広告制作会社の営業としてスカウトされたらしい。

お二人それぞれが今のお店を開くまでの話を聞いていると、もう完全にただのお店のオーナーで はないなと改めてと思う。一体何人分の人生の話をしているのだろう、と不思議に思ってしまった。それほど人生経験が特異な人たちだ。



「自分はものづくりをしないから作り手をリスペクトしている」と関さんは語るが、明確な作品はなくとも、二人とも作家だと思う。「つなぐ人」と「みつける人」の言い方を変えれば、関さんは「人との出会いをつくる人」だし、波多野さんは「新しい波をつくる人」だ。

違った意味での「つくり手」であるお二人のホームに行けば、「厳選する」という行為に説得力を感じる。イベントと合わせてお店にも足を運んでみてほしい。点と点が線になるような感覚がして、面白いはずだ。

取材中も、商品を手にとってはそれについて語り合っていた。そのときの表情は子供がイタズラを思いついたときのようにワクワクとした表情で、見ているこちらも楽しくなってくる。

作り手が生みだす商品や売り手が選んだ商品を見て、お二人それぞれが「ニヤッ」とする。それが厳選の基準だ。

みんなに分かって欲しいわけではなく、分かる人に分かってもらえればいい。でもそれは、突き放しているわけではない。誰しもが持っている「なんか良いな」という感覚を別の誰かと共感できるイベントになるような予感がする。

他では絶対に味わえない、お二人が選んだからこそのイベントの空気感をぜひ体感してほしい。

昭島ハンサムジャンク

http://handsomejunk.com/
6/24(土)12:00〜20:00
6/25(日)11:00〜17:00
モリパーク アウトドアヴィレッジ屋内広場(昭島市田中町610-4)

ガレリアサローネ
https://www.facebook.com/galleriasalone/
立川市栄町4-43-11 11:00〜20:00 火曜休み
※イベント出店に伴い6/24(土)・25(日)・26(月)は臨時休業

ガジェットモード
https://www.gadgetmode.jp/
富士見町5-6-15 YAMASアパートメント1F
12:00〜20:00 月曜休み
※イベント出店に伴い6/23(金)・24(土)・25(日)は臨時休業

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