ハンサムを買いに。「昭島ハンサムジャンク」

ものを買う時、何を基準に買うだろうか。
値段、機能性、見た目、手に入りやすさ。人それぞれ色々な理由がある。

個人的な話になってしまうが、私は自転車が好きだ。「寝てるか仕事してるか自転車に乗ってるか」というくらい生活に溶け込んでいる。むしろ私のほうが自転車に溶け込みそうだ。そんな大好きな自転車を買う時、いつも大切にしていることがある。それは「誰から買うか」だ。

家の近所の自転車屋で注文したって手元に届くものは同じかもしれない。それでも、50km離れた自転車屋で注文したのはお店のご主人の自転車に注ぐ愛情に共感したからだ。細部までこだわって組み立てて、「ここは音がなりやすいから、革のクッションをつけておくよ。ライトのステーもおまけで作っといたよ」と、飄々とした言葉の裏には愛が詰まっている。「この人から買って良かったなぁ」と心の底から満足した。

「どこで・誰から買ったって同じでしょ」といわれれば、物質的に見れば確かにそうかもしれない。しかし、どんな人がどんな想いで売っているのか・作っているのかは、今の時代とても大切なことだと思う。

そういう作り手や売り手の想いを最大限に感じられるイベントが6/24(土)・25(日)に昭島駅北口徒歩3分のモリパークアウトドアヴィレッジで開催される。
ハンドメイド・アンティーク・ワークショップ・ライブペイントと総勢80組が出店する、「AKISHIMA HAND SOME JUNK(昭島ハンサムジャンク)」というイベントだ。ただそれだけなら、「あぁ今流行の蚤の市みたいなイベントね」で片付けられてしまうかもしれない。しかし出店者のラインナップをみるとただならぬ雰囲気を感じる。一つひとつをとりあげれば、すてきなお店ばかり。でも、一堂に集結するとなんだかよくわからない濃い空気感が醸し出されているのだ。

漂う濃密な空気が気になって、主催者のお二人にお話を聞いてみることにした。
主催するのは、立川市栄町でカフェギャラリーヘアサロン「ガレリアサローネ」を経営する関さんと、立川市富士見町でヴィンテージ・アウトドアグッズをメインに扱うアンティークショップ「ガジェットモード」を経営する波多野さんだ。この二人がイベントの出店者を厳選した仕掛け人。

ガジェットモード店内で取材と撮影をさせてもらったのだが、店内の雰囲気とお二人の佇まいがすでに「普通」とは違うなにかを孕んでいて、この人達、なにかやらかすぞ!といい意味で期待が膨らむ。

イギリス王室御用達のトランジスタラジオ「ROBERTS Rambler」は70年代の品。日本の9V電池用に改造済みで、実用品としても使える。

アンティークは「自分が生まれるずっと前を生きて、絶対に出会えるはずがない人が作ったものと出会えて、さらに触れられる。そこにビビッと来るものがあるんだよね」と語る。時代を超えて作り手に出会える、それがアンティークの面白さなのかもしれない。「昔のほうが作りたいものを作っていたよね。今のご時世、マーケティングという名の数字に踊らされて、売れると予想されるものしか作られない」それは確かにつまらないことだ。

1900年代初頭のアメやシガレットなどのケース。

風に強い「ハリケーンランプ」は1950年代のもの。天空の城ラピュタにも登場する「マイナーランプ」は1970年代製。炎が揺らめく様子に心が落ち着く。

それでも、昔よりは減ったのだろうけど、今も作り手はいる。商売っ気なんて微塵も感じさせない「作りたい物」を作って売る人たち。「昔も今も人の手で作ったものって良いよね」そんな思いで始まったのが「昭島ハンサムジャンク」だ。

「なんでこの人これをしこたま集めたんだろう?」という面白さや、「完全に商売向きではないけど、この人はどうしてこれを作り出したんだろう?」と思ってしまうほど個性が溢れていたり、「買っておしまい」にならない、その前やその先のストーリーが気になる出店者ばかりだ。良い意味でフェティシズムが全面に押し出されている。

「良いもの」の基準はとても主観的だ。量産品でも「良いもの」はある。値段が高ければ良いものとは限らないし、手間を掛けているから良いものとも限らない。何をもってして「良い」とするのかは人それぞれだろう。そんな中、このイベントタイトルともなっている「ハンサム」という言葉はとてもしっくりくる。

作り手のその時の気分や作っているときの季節感、そんなささいなものが顕著に現れるものたち。機械とはちがう、厳密さがないところに表情がうまれる。その表情はどれも「ハンサム」だ。かっこいいとも美しいともちがう、少しばかり隙があって、愛嬌たっぷりで懐かしい。そんな言葉が「ハンサム」という単語一つから感じられる。

関さんは「ハンサムという言葉がこのイベントの中で通じる共通語みたいになってくれたら」と語る。良い商品を買った人に「良い買い物をしたね」という代わりに「ハンサムな買い物したね〜」と、したり顔で言い合う。そんな光景がとても似合いそうなイベントだ。

「事前にインターネットで口コミを調べたり、店内の様子を確認する人が増えて、見る目を養う『授業料』を払わない時代になってしまった。失敗してもいいから買う、という行為をしてほしい」という言葉の通り、このイベントでは、自分のアンテナを信じて、ひっかかりを感じたらぜひ手にとってみてほしい。そこから何かが生まれるかもしれない。「作り手」「売り手」「買い手」それぞれが何かのギミックになりえるのだ。

時代や時間軸をとっぱらって、主催者の「目」を主軸に、今も昔も未来も全部ひっくるめて「ハンサムなやつら」が集う「買い物体験」をしてみてはいかがだろうか。

写真・文/一楽まどか

昭島ハンサムジャンク

http://handsomejunk.com/
6/24(土)12:00〜20:00
6/25(日)11:00〜17:00
モリパーク アウトドアヴィレッジ屋内広場(昭島市田中町610-4)

ガレリアサローネ
https://www.facebook.com/galleriasalone/
立川市栄町4-43-11 11:00〜20:00 火曜休み
※イベント出店に伴い6/24(土)・25(日)・26(月)は臨時休業

ガジェットモード
https://www.gadgetmode.jp/
富士見町5-6-15 YAMASアパートメント1F
12:00〜20:00 月曜休み
※イベント出店に伴い6/23(金)・24(土)・25(日)は臨時休業

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